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歯ぎしりの原因と対策|寝ている間の食いしばりを減らすためにできること

歯のケア

朝起きたときに顎がだるい、こめかみのあたりが張っている、家族に「夜、ギリギリ音がしてたよ」と言われた——。そんな経験があるなら、睡眠中の歯ぎしりが起きている可能性があります。

やっかいなのは、歯ぎしりのほとんどが無意識のうちに起きていて、自分では気づけないという点です。痛みがあるわけでもないため放置されやすく、歯科医院で「歯がすり減っていますね」と指摘されて初めて自覚する方も少なくありません。

この記事では、歯ぎしりがなぜ起こるのかという原因の整理から、自宅でできるセルフケア、歯科医院で受けられる対処法までをまとめて解説します。原因はひとつではないため、「これをやれば解決」という単純な話ではありませんが、負担を減らす手立ては複数あります。

歯ぎしりは大きく3つのタイプに分けられる

歯ぎしりは専門的には「ブラキシズム」と呼ばれ、上下の歯が必要のない場面で接触している状態を指します。音が鳴るものだけが歯ぎしりだと思われがちですが、実際には音がしないタイプもあり、そちらのほうが気づきにくいという特徴があります。

グラインディング(歯をこすり合わせる)

上下の歯を横方向にギリギリとこすり合わせるタイプです。いわゆる「歯ぎしりの音」が出るのはこのタイプで、睡眠中に多くみられます。家族や同居人に指摘されて気づくケースが最も多いパターンです。

クレンチング(食いしばり)

上下の歯をぐっと強く噛みしめるタイプです。音がほとんど出ないため、周囲からも自分からも気づかれにくいのが特徴です。睡眠中だけでなく、日中の作業中や運転中、スマホを見ているときなど、起きている間にも無意識に行っていることがあります。

タッピング(カチカチ噛み合わせる)

上下の歯を小刻みにカチカチと打ち鳴らすタイプです。3つのなかでは比較的少ないとされていますが、他のタイプと混ざって起きることもあります。

ナビ助
ナビ助
「音がしないから自分は大丈夫」って思ってる人、けっこう多いんだよ〜。でも食いしばりは静かに進むタイプだから、油断できないんだ。

歯ぎしりが起きる原因は一つではない

かつては「噛み合わせが悪いから歯ぎしりする」と単純に説明されることもありましたが、現在では複数の要因が絡み合って起こると考えられています。日本歯科医師会が運営する情報サイトでも、睡眠時のブラキシズムは多因子性であると説明されています。

ストレスや緊張

最も多く挙げられるのがストレスです。日中に受けた緊張や不安を、睡眠中に歯ぎしりという形で発散していると考えられています。仕事が立て込んでいる時期や、環境が大きく変わった時期に歯ぎしりが強くなったという声は珍しくありません。

日中の緊張を夜まで持ち越さないよう、寝る前に目もとを温めるなどリラックスできる時間をつくる方もいます。

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睡眠の質・睡眠時の呼吸の状態

歯ぎしりは眠りが浅くなるタイミングで起こりやすいとされています。また、睡眠中の呼吸が不安定になる状態と歯ぎしりが関連していることも報告されており、いびきが大きい方は一度医療機関で相談してみる価値があります。

生活習慣(飲酒・喫煙・カフェイン)

寝る前の飲酒や喫煙、夕方以降のカフェイン摂取は、睡眠の質を下げる要因として知られています。寝酒は寝つきをよくするように感じても、後半の眠りを浅くするため、歯ぎしりの観点からは避けたい習慣です。

噛み合わせや歯並び、服薬

詰め物や被せ物の高さが合っていない、歯並びに大きな段差があるといった要因が関与する場合もあります。また、一部の薬の服用が関連すると報告されているケースもあるため、服薬中の方は自己判断で中断せず、処方元の医師に相談してください。

放っておくとどうなる?体に出るサイン

歯ぎしりの力は、食事のときに歯にかかる力を大きく上回ることがあると言われています。しかも睡眠中は無意識のため、加減が効きません。その負担が積み重なると、次のような形で表面化することがあります。

出やすい場所 代表的なサイン
歯 咬む面がすり減って平らになる/欠ける/詰め物が外れやすい
歯ぐき・骨 歯ぐきが下がる/歯がしみる/歯が動揺する感じがする
顎・筋肉 朝の顎のだるさ/こめかみの張り/口が開けにくい
全身 起床時の頭の重さ/首や肩のこわばり

とくに被せ物やインプラントが入っている方は、歯ぎしりの力がそこに集中しやすいため、早めに歯科医院で相談することが望まれます。上の表はあくまで一般的に指摘される傾向であり、症状の出方には個人差があります。

注意

ここに挙げたサインは、歯ぎしり以外の原因で起こることもあります。自己判断で原因を決めつけず、気になる症状が続く場合は歯科医師の診察を受けてください。

自宅でできる歯ぎしり対策

歯ぎしり自体を意志の力で止めることは難しいのですが、起こりにくい環境を整えることはできます。まずは負担の少ないところから試してみてください。

1. 日中の「歯を離す」意識づけ

本来、上下の歯は会話や食事のとき以外は触れていないのが自然な状態です。ところが集中していると、無意識に噛みしめていることがあります。パソコンのモニターや冷蔵庫に「歯を離す」と書いた付箋を貼っておくと、目に入るたびに力が抜けるという方法がよく紹介されています。地味ですが、日中の食いしばりには有効なアプローチとされています。

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2. 就寝前に顎まわりをゆるめる

寝る直前まで画面を見ていると、体も顎も緊張したまま眠りに入りがちです。入浴で体を温める、寝室の照明を落とすといった切り替えを入れると、顎まわりの緊張もほぐれやすくなります。目もとを温めるアイテムとしては花王「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」のような使い捨てタイプが手軽で、就寝前のルーティンに組み込みやすいでしょう。首や肩まわりまで温めたい場合は、繰り返し使える桐灰「あずきのチカラ 首肩用」のような小豆の蒸気で温めるタイプもあります。

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ナビ助
ナビ助
寝る前のスマホって、つい見ちゃうよね〜。でも顎に力が入ったまま眠っちゃうと、そのまま朝までコース。ちょっとだけ早めに手放してみて。

3. 横向き・うつ伏せの寝姿勢を見直す

横向きやうつ伏せで寝ると、下の顎に体重や枕の圧力がかかりやすくなります。仰向けで眠れるように枕の高さを調整するだけでも、顎まわりの負担は変わってきます。枕が高すぎると感じている方は、高さを調整できるタイプに替えてみるのもひとつの手です。

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4. 飲酒・喫煙・カフェインを寝る前に控える

前述のとおり、これらは睡眠の質に影響します。すべてやめるのが難しくても、就寝の3〜4時間前までに済ませるという線引きなら取り入れやすいはずです。

ポイント

セルフケアは「歯ぎしりをなくす」ためではなく、「歯ぎしりが起きたときのダメージを減らす」ための土台づくりと考えると続けやすくなります。

ナビ助
ナビ助
セルフケアだけで抱え込まなくていいんだよ〜。歯医者さんには、力から歯を守る道具がちゃんとあるからね。

歯科医院で受けられる対処法

ナイトガード(マウスピース)

最も一般的なのが、就寝時に装着するナイトガードです。歯ぎしりそのものを止める装置ではなく、歯や顎にかかる力を装置が肩代わりして、歯のすり減りや破折を防ぐことを目的としています。

歯ぎしりや食いしばりによる症状の治療を目的とする場合は健康保険が適用され、3割負担でおよそ3,000〜6,000円が目安とされています。自費で作る場合は素材や厚みの選択肢が広がる代わりに、15,000〜40,000円程度が相場です。ただし費用は歯科医院によって異なるため、事前に確認してください。

ナイトガードは毎晩口に入れるものなので、清潔に保つことが欠かせません。水洗いとブラシだけでは落としきれない汚れもあるため、グラクソ・スミスクライン「ポリデント デンタルラボ マウスピース・矯正用リテーナー用洗浄剤」のような専用の洗浄剤を併用している方が多いようです。装置は熱に弱いため、熱湯消毒は避けてください。

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咬み合わせの調整

詰め物や被せ物の高さが原因として疑われる場合は、わずかに削って調整することがあります。ごく少量の調整で顎の負担が変わることもあるため、心当たりがあれば相談してみてください。

ボツリヌス製剤(ボトックス)を用いる方法

顎を動かす筋肉に働きかける方法として、ボツリヌス製剤を用いる選択肢を案内している歯科医院もあります。保険適用外の自費診療で、効果や適応、リスクの説明を受けたうえで検討する必要があります。すべての方に向く方法ではないため、まずは歯科医師の診断を受けてください。

ストレス面へのアプローチ

原因がストレスに大きく関わっている場合は、歯科的な対処だけでは限界があります。睡眠に関する悩みが強い場合は、歯科と並行して内科や睡眠専門の医療機関に相談する道もあります。

歯科医院に相談したほうがよい目安

ポイント

次のいずれかに当てはまるなら、一度受診を検討してみてください。
・朝起きたときの顎のだるさが週に何度もある
・歯の先が平らにすり減ってきた気がする
・詰め物や被せ物が短期間で何度も外れる
・口を開けるときに音が鳴る、開けにくい
・家族に歯ぎしりの音を繰り返し指摘される

歯ぎしりは「治療しなければならない病気」と一律に決まっているわけではありません。すり減りが軽く、症状もなければ経過観察となることもあります。逆に、被せ物の破損が続いているようなケースでは、早めの対処が費用の面でも結果的に負担を抑えることにつながります。

よくある質問

Q. 市販のマウスピースでも代用できますか?

A. ドラッグストアやネット通販でも歯ぎしり用のマウスピースは販売されています。手軽に試せる点はメリットですが、既製品は自分の歯列にぴったり合うとは限らず、噛み合わせが変わってしまう可能性も指摘されています。とくに症状が出ている方は、歯科医院で型を取って作る方法を優先し、市販品を使う場合も一度歯科医師に相談しておくと安心です。

Q. ナイトガードはどのくらいで作り替えますか?

A. 使用状況によりますが、おおむね1年前後で作り替えを検討することが多いようです。保険で作り直す場合は前回の作製から一定期間の経過が必要とされているため、通っている歯科医院で確認してください。穴が開いてきた、割れたという状態のまま使い続けるのは避けましょう。

Q. 子どもの歯ぎしりも治療が必要ですか?

A. 乳歯から永久歯に生え替わる時期の子どもは、顎の成長にともなって歯ぎしりをすることがあり、多くは成長とともに落ち着いていくとされています。ただし、歯が極端にすり減っている場合や痛みを訴える場合は、小児歯科で相談してください。

Q. 歯ぎしりでインプラントや被せ物が壊れることはありますか?

A. 力が一点に集中すると、被せ物が欠けたり、インプラントの部品に負担がかかったりする可能性があります。そのため、インプラント治療や大きな補綴治療を受ける際には、歯ぎしりの有無を事前に伝えておくことが大切です。治療後にナイトガードの装着をすすめられることもあります。

Q. マウスピースをつけると歯ぎしりは治りますか?

A. ナイトガードは歯ぎしりそのものをなくす装置ではなく、力から歯を守るための装置です。装着によって顎の負担が軽くなったと感じる方もいますが、効果の感じ方には個人差があります。原因面へのアプローチと組み合わせて考えるのが現実的です。

Q. 日中の食いしばりに気づく方法はありますか?

A. ふと気づいたときに、上下の歯が触れているかを確認する習慣をつけてみてください。触れていたら、息を吐きながら顎の力を抜きます。1日のなかで何度も触れている自覚があるなら、日中の食いしばりが起きている可能性が高いと考えられます。

ナビ助
ナビ助
歯ぎしりはゼロにするより、うまく付き合っていくイメージだよ〜。守る道具と、力が抜ける習慣。この2本立てでいこう。

まとめ

歯ぎしりの原因はストレス、睡眠の状態、生活習慣、噛み合わせなど複数が絡み合っており、ひとつに特定できないことがほとんどです。だからこそ、原因探しに時間をかけすぎるより、歯を守る手立てと、力が抜けやすい生活の両方を並行して整えるほうが現実的です。

朝の顎のだるさや歯のすり減りが気になり始めているなら、まずは歯科医院で現在の状態を確認してもらいましょう。歯ぎしりの詳しい解説は日本歯科医師会「テーマパーク8020」の歯ぎしりのページでも公開されており、顎の関節に症状が出ている場合は日本口腔外科学会「顎関節の疾患」の解説も参考になります。

診断や治療方針の判断は歯科医師にしかできません。この記事の内容は一般的な情報として受け取っていただき、実際の対応は必ず歯科医院で相談してください。

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