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舌癖の治し方とMFT|歯並びへの影響と矯正の後戻りを防ぐ考え方

矯正・ホワイトニング

矯正歯科で「舌の癖がありますね」と言われて、初めてその存在を知ったという方は少なくありません。舌癖(ぜつへき)は、無意識のうちに舌を歯に押し当てたり、前に突き出したりする癖のことです。

やっかいなのは、本人にまったく自覚がないまま続いてしまう点です。舌は1日に何百回も動いており、その力が特定の方向にかかり続けると、歯並びやかみ合わせに影響することがあるとされています。

さらに、矯正治療を進めるうえでも無視できません。舌癖が残ったままだと、装置を外したあとに歯が動いて戻ってしまう(後戻り)原因になり得ると指摘されています。せっかく時間とお金をかけて整えた歯並びが崩れるのは避けたいところです。

この記事では、舌癖がどういうものか、歯並びへの影響、原因、そして改善のためのMFT(口腔筋機能療法)というアプローチについて整理します。実際のトレーニング内容は状態によって変わるため、取り組む際は歯科医院での指導を受けてください。

ナビ助
ナビ助
今この瞬間、舌はどこにある? 上あごについてる? それとも下に落ちてる? ここが出発点なんだ!

舌癖とはどういう状態か

舌癖は、日常生活のなかで無意識に舌が本来とは違う位置にあったり、違う動きをしたりする状態を指します。口が開いて舌が出てしまう、舌を歯に押し付ける、飲み込むときに舌が前に出るといった動きが代表的です。

本来の舌の位置

安静にしているとき、舌の先は上の前歯のすぐ後ろの少しふくらんだ部分(スポットと呼ばれます)に軽く触れ、舌全体が上あごに接している状態が理想とされています。舌が下あごの底に落ちている状態は「低位舌」と呼ばれ、舌癖の一つとして扱われます。

飲み込み方のちがい

正しい嚥下(飲み込み)では、上下の歯が軽く合わさり、舌が上あごに押し付けられて食べ物や唾液を送り込みます。舌癖があると、飲み込むたびに舌が前歯を押す動きになり、その力が繰り返し歯に加わることになります。

セルフチェック
  • 安静時に舌先が上あごではなく、下の前歯の裏に当たっている
  • 飲み込むときに、唇やあごに力が入って動く
  • 「サ行」「タ行」の発音が舌足らずに聞こえると言われる
  • 口が開いていることが多い、口呼吸をしている
  • 舌の縁に歯型のようなギザギザした跡がついている
  • 前歯が閉じず、上下にすき間がある

複数当てはまる場合は、一度歯科医院で見てもらうと状態がはっきりします。自己判断で「これは舌癖だ」と決めつける必要はありません。

舌の位置や口元の様子を確かめるときは、鏡を使うと気づきやすくなります。

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歯並びやかみ合わせへの影響

舌が歯に加える力は一回ごとは小さくても、毎日繰り返されることで積み重なります。歯科では、次のような状態との関連が指摘されています。

状態 どういうものか
開咬(かいこう) 奥歯を噛んでも前歯が閉じず、すき間が残る
上顎前突 上の前歯が前に傾いて出ている
すきっ歯 前歯の間に間隔があく
反対咬合 下の前歯が上の前歯より前に出る
歯列の狭窄 舌が上あごを支えず、歯列の幅が狭くなる

ただし、これらの状態がすべて舌癖によるものというわけではありません。骨格の特徴、遺伝、指しゃぶり、口呼吸など複数の要因が重なるとされており、原因の切り分けは診察と検査を通じて行われます。

発音や食事への影響

舌の位置は発音にも関わります。サ行・タ行・ラ行など、舌先を使う音がはっきりしないことがあります。また、食べ物を飲み込むときに口の周りに余計な力が入り、食事に時間がかかる、こぼしやすいといった形で表れることもあります。

ナビ助
ナビ助
「歯並びが悪いのは生まれつきだから仕方ない」って思ってた人ほど、舌の癖の話は意外に感じるかもしれないね!

矯正治療との関係

治療中に歯が動きにくくなることがある

矯正は、弱い力を継続的にかけて歯を動かしていく治療です。そこに舌から別方向の力が加わると、計画どおりに歯が動かない、予定より時間がかかるといったことが起こり得ます。

後戻りの原因になり得る

装置を外した直後の歯は、まだ周囲の組織が安定していません。この時期に舌が前歯を押し続けると、整えた歯並びが崩れる方向に力がかかります。矯正歯科でMFTが重視されるのは、この後戻りを抑える意味が大きいためです。

リテーナーとの関係

矯正後は保定装置(リテーナー)を使って歯並びを維持します。ただしリテーナーは歯を押さえるものであって、舌の癖そのものを変えるものではありません。装置に頼るだけでなく、舌の使い方を変えていくことが、長い目で見た安定につながると考えられています。

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注意

矯正治療を検討している段階で舌癖を指摘された場合、装置を入れる前からMFTを始めるようすすめられることがあります。順番や進め方は担当医の方針によって異なるため、自己流で先に始めるのではなく、まず相談してください。

ナビ助
ナビ助
鼻がつまってると、どうしても口が開いちゃうんだよね。そこは耳鼻科の出番かもしれないよ!

舌癖が起こる背景

口呼吸

鼻がつまっている、アレルギー性鼻炎がある、扁桃が大きいなどの理由で口呼吸が続くと、口が開いた状態が習慣になり、舌が下がりやすくなります。耳鼻咽喉科での確認が必要なケースもあります。

指しゃぶり・爪噛みなどの習癖

長く続いた指しゃぶりは、前歯にすき間を作り、そこに舌が入り込む形をつくることがあります。癖が終わったあとも、舌の動きだけが残ることがあります。

舌小帯の状態

舌の裏側にある筋(舌小帯)が短いと、舌を上あごまで持ち上げにくくなることがあります。程度によっては処置が検討されることもあり、これは歯科医師の診断によります。

やわらかい食事に偏った食習慣

よく噛む機会が少ないと、口の周りや舌の筋肉が育ちにくいとされています。噛みごたえのある食材を取り入れることは、日常でできる工夫の一つです。

姿勢

頭が前に出た姿勢や、猫背の状態では、あごと舌の位置関係が変わります。デスクワークやスマートフォンの使用時間が長い方は、気づかないうちに口が開いた姿勢になっていることがあります。

MFT(口腔筋機能療法)とは

MFTは、舌・唇・頬など口のまわりの筋肉のバランスを整え、正しく機能させることを目的としたトレーニングです。矯正歯科や小児歯科で、歯科衛生士の指導のもと進められることが一般的です。

進め方

2〜4週間ごとに歯科医院でレッスンを受け、自宅で毎日トレーニングを続けるという形が基本になります。1回のトレーニングは数分程度でも、毎日続けることが前提になっている点が特徴です。

基本になるトレーニングの考え方

MFTで扱う主な要素
  • 舌先を正しい位置(スポット)に置く感覚を覚える
  • 舌全体を上あごに吸い付ける力をつける
  • 唇を閉じる筋肉を鍛える
  • 正しい飲み込み方を身につける
  • これらを、意識しなくてもできる状態に定着させる

ここで難しいのは最後の項目です。トレーニング中はできても、無意識のときに元に戻ってしまうという壁があり、だからこそ数か月から年単位の期間をかけて取り組みます。

使われる道具

歯科医院では、舌を押し上げる力(舌圧)を鍛える目的で、JMS社の「ペコぱんだ」のような舌トレーニング用具が使われることがあります。かたさが数段階に分かれており、状態に合わせて選ぶ設計になっています。歯科医院で扱われる医療機器のため、使用の可否や選び方は担当者の指示に従ってください。

自宅では、鏡を見ながら舌の位置を確認する練習が中心になります。洗面所に置ける卓上ミラーや、子ども用にトレーニングの回数を記録するシール台紙・カレンダーを用意すると、続ける後押しになります。毎日のことなので、記録できる形にしておくと積み重ねが見えます。

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ナビ助
ナビ助
毎日3分でも、続くかどうかで結果が変わるんだ。歯みがきのあとにセットにしちゃうのがおすすめ!

トレーニングでよく取り上げられる動き

実際の指導内容は医院によって異なりますが、一般に紹介されることが多い動きを挙げておきます。いずれも、どれをどの順番で行うかは指導者が決めるものなので、自己流で回数を増やさないでください。

名称 ねらい
スポットポジション 舌先を置くべき位置を、指や器具で確認して覚える
ポッピング(吸い付け) 舌全体を上あごに吸い付け、音を立てて離す。舌を持ち上げる力を養う
ティップ・スティック 舌先を細く保ち、狙った位置に当てる感覚をつかむ
リップトレーニング 唇を閉じる筋肉を使い、口が開いた状態になりにくくする
正しい嚥下の練習 水や少量の食べ物で、舌を上あごに押し当てて飲み込む動きを再現する

どの動きも一度で身につくものではなく、毎日の反復で「意識しなくてもできる」状態に近づけていくという組み立てになっています。回数や強度を勝手に増やすと、かえって筋肉を痛めることがあるため注意してください。

日常でできる意識づけ

トレーニングとは別に、日常のなかで舌の位置を意識する時間を増やすことも大切とされています。

日常で意識したいこと
  • 気づいたときに、舌先が上あごに触れているか確認する
  • 唇を閉じて鼻で呼吸できているか確認する
  • 食事はひと口を小さくし、しっかり噛んでから飲み込む
  • 猫背になっていないか、頭が前に出ていないか見直す
  • 鼻づまりが続く場合は耳鼻咽喉科に相談する

スマートフォンやパソコンの前で口が開いてしまう方は、モニターの端に小さな付箋を貼って「舌は上」と書いておく方法があります。費用がかからず、意識づけの回数を増やせる工夫です。

ナビ助
ナビ助
「もう大人だから遅い」ってことはないよ。矯正のあとの安定を守る意味でも効いてくるんだ!

始める時期の考え方

子どもの場合

成長期は骨格が変化する時期であり、口の機能の獲得が進む段階でもあります。歯の生え変わりに合わせて、小児矯正の一環としてMFTがすすめられることがあります。開始の適切な時期は個々の成長によって異なるため、歯科医院で相談してください。

大人の場合

成人でも取り組むことはできます。ただし長年続いた癖であるほど、定着に時間がかかる傾向があるとされています。矯正治療と並行して行う、あるいは治療前から準備として始めるという進め方が一般的です。

矯正治療全般については、日本矯正歯科学会や日本歯科医師会のサイトでも一般向けの情報が公開されています。

よくある質問

Q. 自分で治すことはできますか

意識づけだけで変わる方もいますが、どの筋肉がどう働いていないかは、専門的に見てもらわないとわかりません。歯科医院で状態を確認したうえで、必要なトレーニングを指導してもらうほうが確実です。

Q. どのくらいの期間かかりますか

状態や年齢によって幅があります。数か月で変化を感じる方もいれば、1年以上かけて定着させる方もいます。定期的に通いながら、経過を見て進めていくのが一般的です。

Q. MFTは保険が使えますか

実施の位置づけや医院の体制によって扱いが異なります。矯正治療の一環として自費になるケース、口腔機能に関する診療のなかで対応されるケースがあります。費用については、受診する医院に直接確認してください。

Q. 矯正をしないでMFTだけを受けることはできますか

医院によっては、MFT単独での指導を行っているところもあります。ただし、すでに歯並びが変化している場合、トレーニングだけで歯の位置が戻るとは限りません。状態に応じた判断が必要です。

Q. 大人になってからでは遅いですか

遅すぎるということはありません。ただし子どもに比べて習慣の定着に時間がかかる傾向はあります。矯正後の後戻りを抑える目的で、成人が取り組むケースもよくあります。

Q. 舌小帯が短いと言われました。手術が必要ですか

必要かどうかは程度と機能への影響によります。すべてのケースで処置が行われるわけではありません。歯科医師や口腔外科で診断を受けてください。

Q. 口を閉じるテープを使ってもよいですか

市販されている口閉じ用のテープは、鼻の通りが確保されていることが前提です。鼻づまりがある状態で使うと呼吸がしづらくなる可能性があります。使用前に歯科医師や耳鼻咽喉科医に相談してください。

Q. 子どもが続けてくれません

回数や時間を細かく区切る、記録をつけて見えるようにする、歯科医院で担当者に確認してもらう日を作るなど、続けやすい形に整える工夫が有効とされています。担当の歯科衛生士に相談すると、その子に合った方法を提案してもらえます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 舌癖は、無意識に舌が歯を押したり低い位置にある状態を指す
  • 開咬・上顎前突・すきっ歯などとの関連が指摘されている
  • 矯正中は歯が動きにくくなり、矯正後は後戻りの一因になり得る
  • 背景には口呼吸、指しゃぶり、舌小帯、食習慣、姿勢などがある
  • 改善にはMFT(口腔筋機能療法)が用いられ、歯科衛生士が指導する
  • 2〜4週間ごとの通院と、自宅での毎日のトレーニングが基本
  • 子どもも大人も取り組めるが、定着には時間がかかる

舌癖は、意識しはじめた時点で半分は進んだようなものです。気になる項目があった方は、矯正の相談とあわせて、舌の使い方についても歯科医師・歯科衛生士に聞いてみてください。診断と指導を受けたうえで進めることをおすすめします。

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